【令和6年度経営革新事業】M&Aや事業承継後の投資に使える|事業承継・引継ぎ補助金
事業承継やM&Aは非常にお金がかかります。
中小企業といえど買収価格が1,000万円を超えることはよくありますし、1億円を超えることも。
さらに仲介業者にマッチングをお願いした場合は追加で数千万円かかることもあります。
一方、事業承継やM&Aは引き継いでからがスタートです。
引き継いだ会社の業績拡大のために新規投資をしたくなるもの。
しかし、事業承継やM&Aそのものに非常にお金がかかったのに、その後の投資にお金を割く余裕なんて正直ないですよね。
実はそんな買い手の方向けにM&Aや事業承継の後の投資に使える「事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業」という補助金があります。
最大800万円ほどの補助金がおりるので、引き継ぎ後の投資負担を抑えることができます。
そこで本記事ではこの事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業の概要や申請要件、採択事例について解説いたします。
「事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業に申請したいけど、自分の会社は対象になるのか知りたい」という方はぜひご覧ください。
本記事の監修者
株式会社SAKU 代表取締役 谷沢 鷹続
2つのコンサルティング会社で各種補助金の獲得支援、事業承継・M&A、Webマーケティング、IT利活用などを支援。独立した後は、これまで培ったノウハウを活かし中小企業の包括的な伴走支援と専門的な実行支援を行う。
事業承継・引継ぎ補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金などの大型補助金の申請支援を得意とし、採択率は90%前後を誇る。
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なお、経営革新事業だけでなく事業承継・引継ぎ補助金の全体感を知りたいという方は、まず以下の記事をご覧ください。
経営革新事業の直近の応募締切日と2024年のスケジュール
2024年6月4日に事業承継・引継ぎ補助金の9次公募の採択結果が発表されました。
また、それと同時に7月頭から10次公募が開始される旨が発表されました。
ただし、10次公募は臨時で行う追加公募のため、専門家活用事業のみが公募され、経営革新事業は公募されません。
11次以降のスケジュールなどさらに次のスケジュールについては、当社の無料補助金メルマガにご登録いただけましたら、最新スケジュールが公開され次第情報提供いたしますので、よろしければご登録をお願いいたします。
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事業承継・引継ぎ補助金とは?概要をわかりやすく解説
事業承継・引継ぎ補助金は事業承継・M&Aそのものや事業承継・M&A後の投資に対する補助金の制度です。
事業承継・引継ぎ補助金の中に以下の3つの事業があり、それぞれ補助率と補助金額が異なります。
種類(事業) | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
経営革新事業 | 800万円 | 1/2-2/3 |
専門家活用事業 | 600万円 | 1/2-2/3 |
廃業・再チャレンジ事業 | 150万円 | 2/3 |
本記事ではこのうちの経営革新事業について解説します。
経営革新事業の補助金額と補助率
前章で経営革新事業の補助金額と補助率に簡単に触れましたが、細かく見ると下記のようになります。
条件 | 賃上げ実施有無 | 補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|---|---|
①小規模事業者 ②営業利益率低下 ③赤字 ④再生事業者 のいずれかに該当 | 実施 | 800万円 | 〜600万円までの部分 | 2/3 |
600万円〜800万円の部分 | 1/2 | |||
実施しない | 600万円 | - | 2/3 | |
上記に該当しない | 実施 | 800万円 | - | 1/2 |
実施しない | 600万円 | - | 1/2 |
特別な条件を何も満たさないと最大600万円で補助率1/2。
各種条件を満たすことで、最大800万円、補助率2/3になります。
経営革新事業の補助対象経費
補助金はどんな投資に対してもお金が出るわけではありません。
用途が定められており、経営革新事業の場合は下記などが対象です。
経営革新事業の補助対象経費の例
- 店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費、新築工事や改修工事の費用
- 機械装置の購入費、ソフトウェアやホームページ制作費、コピー機や複合機
- 店舗・事務所の新築工事や改修工事、機械装置やソフトウェア、複合機
- ネット広告費やパンフレット・チラシの制作費、印刷費、DM郵送料、展示会出店費
- 事業に対するコンサルティング費
- 試供品・サンプル品の製作費
- 特許権等の取得に関わる弁理士費用、買取費用
- 市場調査に要する郵送料・メール便の費用
- 国内出張、海外出張の交通費や宿泊費
また、廃業・再チャレンジ事業と併用申請した場合は、廃業費も対象になります。
具体的には在庫処分費や解体費などです。
逆に下記などの経費は補助金の対象外となります。
経営革新事業の対象とならない経費の例
- 本社事務所の家賃
- 会社全体のホームページ制作費
- 人件費
- 求人広告などの採用に関わる費用
- 本補助金の申請支援の費用
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経費経営革新事業の3つの類型
事業承継・引継ぎ補助金は3つの種類に分けられ、そのうちの1つが経営革新事業だと説明しました。
そして経営革新事業は、以下のさらに3つの類型分けることができます。
類型 | 概要 |
---|---|
創業支援類型=Ⅰ型 | 会社や事業を引き継いで開業や法人設立する場合の類型 |
経営者交代類型=Ⅱ型 | 同一法人内で代表が交代する場合(個人事業主の場合は事業譲渡する場合)の類型 |
M&A類型=Ⅲ型 | Ⅰ型、Ⅱ型に当てはまらない事業承継やM&Aの場合の類型 |
ざっくり言うと下記のとおりです。
- 引き継いで創業するならⅠ型
- 代表が交代するだけならⅡ型
- その他のM&Aや事業承継ならⅢ型
複数の類型に当てはまる場合もあると思いますが、どちらで申請しても採択率に差は出ないかと思います。
また、類型によって補助金額や補助率も変わりませんし、補助対象経費も変わりません。
申請に必要な書類が異なる程度の影響ですので、申請準備の初めにどの類型になるのかを判断する必要はないです。
申請準備を進めながらどの類型になるのか判断するのが良いかと思います。
それぞれの類型について簡単に解説します。
創業支援類型=Ⅰ型
創業支援類型は会社や事業を引き継いで開業や法人設立する場合の類型です。
申請時点で創業している必要はなく、一定期間内で開業や法人設立していれば問題ありません。
創業支援類型の要件を満たす開業や法人設立の期間(9次)
2019年11月23日〜2024年11月22日
具体的には、サラリーマンが事業譲渡で開業する場合などが当てはまります。
経営者交代類型=Ⅱ型
同一法人内で代表が交代する場合の類型です。
個人事業主の場合は、代表が交代するという概念がありませんので、単純に事業譲渡する場合です。
ポイントは株式の移転が不要な点です。
親族内承継の場合、株式は相続時精算課税制度等を活用して徐々に贈与していくことが多いと思いますが、そのような場合でも代表さえ交代していれば本補助金を使用できます。
経営者交代類型の未来の承継|承継前の事業も対象
経営革新事業では、事業承継対象期間(9次の場合は2019年11月23日〜2024年11月22日)に事業承継やM&Aを完了の上、投資も完了させる必要があります。
ただし、経営者交代類型のみ例外があり、特定の条件さえ満たせば、経営者交代が完了していなくても補助金がおります。
つまり、承継前の投資であっても補助対象となるわけです。
これを未来の承継と言います。
特定の条件というのは下記です。
(公募要領から主要な条件を要約しています。)
未来の承継の条件(主要な条件を要約)
- 後継者候補が選定されていること
(後継者候補になれるのは、その会社に在籍している方のみ) - 後継者候補が主体的に取り組む事業・投資内容であること
- 5年以内に事業承継を完了させる事業承継計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること
正確な文言を知りたい方は事務局ホームページから公募要領を確認ください。
「今すぐ事業承継したいわけではないが、今後この補助金制度が続くかわからないので、今のうちに使っておきたい」という方は「未来の承継」ルールで申請しましょう。
M&A類型=Ⅲ型
M&A類型は、Ⅰ型、Ⅱ型に当てはまらない一般的なM&Aが対象になる類型です。
創業しているわけではなく、経営者交代だけではない場合ですね。
注意点は親族内承継が補助対象外ということです。
親族内承継で経営革新事業の申請を行う場合は、創業支援類型か経営者交代類型のいずれかを選択しましょう。
経営革新事業の採択事例|似た投資内容・業種の計画はある?
自分のアイディアが補助金の対象になるのか気になりますよね?
そういった場合は過去の採択事例が公開されているので、あなたの考えてた内容に近い事例がないか探してみましょう。
類似した事例が見つかった場合、あなたのアイディアも補助金の対象になる可能性が高いです。
本記事では各類型からいくつか抜粋して記載します。
(業種は公開情報にはないので、推測で記載しています。)
創業支援類型の採択事例
業種 | 都道府県 | 経営革新等に係る取組の概要 |
---|---|---|
牡蠣養殖業 | 岡山県 | 播磨灘海域で育成採取した生牡蠣の鮮度向上のため、新たな生産方法を導入し、水揚げから出荷までの時間を短縮、独自の出荷基準を設けて高付加価値化を図り、自社オリジナルブランドをつけて箱詰めし個人や外食産業に販路を拡げる。 |
歯科医院 | 栃木県 | これまで当院は義歯治療を希望する高齢者をメインターゲットとしてきました。しかし、時代の変遷による顧客層や、歯科医院に対する需要の変化に対応し、また収益性のより高い自由診療に力を入れていくため、院内のデジタル化を進めます。このデジタル化によって、患者さまにとって分かりやすく明瞭かつ身体的にも負担が少なく、満足度の高い歯科医療サービスの提供が可能になります。その結果として幅広い世代にも支持され、当院のブランド力UPによる売上の増加を目指します。また生産性の向上はもちろん、スタッフの負担軽減も実現します。 |
美容サロン | 岡山県 | 新規事業として、共働き世代の美容意識を高めるためネイルやマツエク、脱毛などの美容サービスを提供する「ワンストップビューティサービス促進事業」を展開していく。個室対応を行い時間あたりの美容満足度を高める。 |
飲食業 | 大分県 | 既存の「道楽うどん」では店内飲食によるランチタイム営業のみである。今回、新たな商品開発や店舗改修に加え、夜間営業、テイクアウト、物販、店内及び店外の有効活用を推進し、新規客の獲得と地域の活性化を図る。 |
自動車整備業 | 兵庫県 | 工場を移転して認証を取得することで、現作業所ではできない車両総重量8トン未満のトラックの販売・整備事業に進出し、電子制御装置整備サービスを加えてスピード対応をウリにした事業を展開する。 |
引用:経営革新事業 採択者一覧(Ⅰ.創業支援型)
※業種は事業概要から想定で記載
経営者交代類型の採択事例
業種 | 都道府県 | 経営革新等に係る取組の概要 |
---|---|---|
飲食店(トンカツ) | 静岡県 | トンカツ屋を事業承継する。当社が焼肉屋で使用していた「しずおか牛」を使った「牛カツメニュー」の新設し、昼間の集客を実現。加えてカフェ利用スペースを設けることで新顧客層開拓を行う。イベント時にはキッチンカーでの販売も行い、観光需要の取り込みも行う。新たなサイドメニューとして、既存の焼肉店で好評なデザートもトンカツ屋で提供する。オーダー管理はタブレット端末を使うことで効率的な経営も実現する。 |
パン製造小売業屋 | 愛知県 | 本取組は、新商品「米粉パン」の開発と量産化できる製造体制を構築することで、新たに小売店向けに販売を開始し、安定した収益源を確保する取組みである。具体的な取組みとして、①JAとの米粉パン商品の開発、②米粉パン商品の量産化体制の構築を実現する。 |
お茶農家 | 鹿児島県 | 有機栽培をはじめ、環境にも優しいクリーンな製造方法で国内消費だけではなく海外輸出も取り組み、革新的な経営を目指していきます。 |
酒類製造業 | 群馬県 | 日本酒業界では古くから冬季醸造製法「寒造り」が一般的でしたが、人手が余る夏季にフレッシュな搾りたて生酒を製造販売し課題解決を図ります。夏季に搾りたて生酒を販売することで競合もなく、新規性を有し売上増加を見込める取組です。 |
土木工事業 | 福井県 | 当社の強みである海事工事で培ったノウハウ・技術を活かし、橋梁磯工事に挑戦する。橋梁基礎工事の新規工事、既存橋梁の補修・補強工事等を行い、地域活性化に貢献する。 |
引用:経営革新事業 採択者一覧(Ⅱ.経営者交代類型)
※業種は事業概要から想定で記載
M&A類型の採択事例
業種 | 都道府県 | 経営革新等に係る取組の概要 |
---|---|---|
EC業 | 東京都 | ウェブメディア「HORTI」やコミュニティサービス「GreenSnap」に集まる日々の情報を分析し、商品開発やサイト構築に活用することで、ユーザーのニーズに応える植物のEC販売事業。 |
薬局 | 兵庫県 | 従来のクリニック併設の「門前薬局」から在宅医療に対応する「訪問型薬局」の新事業展開 |
食品卸売業 | 静岡県 | これまでの事業である食品の卸事業に加えて、創業70年の富士宮の銘菓を承継することで菓子製造業という新規事業に挑む。これまでの販路の活用・取引先とのコラボ商品の開発など、既存事業とシナジー効果が見込める取組である。 |
人材派遣業 | 福島県 | 自社で介護職を教育、職業訓練を行い、他社介護事業者への人材紹介を通して、雇用拡大を実現させる。また、人材紹介で得た紹介手数料を、当該介護事業所内での福利厚生や職員賃金への還元をすることによって、自社独自の「処遇改善」を実現し、新人育成が回転、継続される。以上のスキームは、近隣地域での実例が無いと思われ、先駆者的取り組みであると認識している。 |
産業機械製造業 | 愛知県 | ロボットハンドの内製化により、多様なハンドの製造・顧客の要望への対応力向上・短納期化を図る。これらを活かして、産業用ロボット及び既存事業で取扱う周辺機器(コンベヤや搬送機器など)と組合せたロボットシステムの受注拡大を狙う。 |
引用:経営革新事業 採択者一覧(Ⅲ.M&A類型)
※業種は事業概要から想定で記載
あなたと似た業種やアイディアの採択事例はありましたか?
申請を考える際は本当に自社が対象になるのか公募要領をもとに詳細を確認する必要があります。
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経営革新事業の要件
事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業に申請したくても要件を満たしていないと申請できません。
(申請しても不採択や採択取り消しになります)
要件は大きく以下の4つに分かれます。
- 会社・個人事業主の要件
- M&Aや事業承継の要件
- 事業・投資内容の要件
- 買い手(引継ぐ側)の代表の要件
ここではそれぞれについて主な要件を解説します。
他の要件や正確な文言を確認したい場合は事務局ホームページの公募要領を確認してください。
会社・個人事業主の要件
何よりも中小企業者等に該当しなければ本補助金の対象になりません。
本補助金の対象となる中小企業者等は下記です。
業種分類 | 定義 |
---|---|
製造業その他(注 1) | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業(注 2) | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
(注 1) ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下
(注 2) ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下
なお、中小企業者等には個人事業主も含まれるので、その他の条件も満たせば個人事業主も対象です。
参考:事業承継・引継ぎ補助金は個人事業主でも申請できる?注意点は?
また、上記の定義を満たしたとしても法人形態によっては対象外となる場合があります。
法人形態 | 対象/対象外 | 備考 |
---|---|---|
株式会社 | 対象 | |
有限会社 | 対象 | |
合名会社 | 対象 | |
合資会社 | 対象 | |
合同会社 | 対象 | |
社会福祉法人 | 対象外 | |
医療法人 | 対象外 | 個人開業医は対象 |
一般社団・財団法人 | 対象外 | |
公益社団・財団法人 | 対象外 | |
学校法人 | 対象外 | |
農事組合法人 | 対象外 | 個人の農家や株式会社などの農家は対象 |
組合(農業協同組合等) | 対象外 | |
特定非営利活動法人(NPO法人) | 追加条件付きで対象 | 中小企業者等の振興に資する事業を行う(事業)者 など |
参考:【事業継承・引継ぎ補助金】個人開業医・クリニックや医療法人は使える?注意点は?
M&Aや事業承継の要件
M&Aや事業承継は、ざっくり申請期日の4年半前〜申請期日の半年後の間に終える必要があります。
この期間を事業承継対象期間というのですが、直近9次の正確な日にちは下記です。
9次の事業承継対象期間
2019年11月23日〜2024年11月22日
8次の場合は上記期間にM&Aや事業承継を完了させることが補助金を獲得する要件でした。
なお、M&Aや事業承継が完了したことの判定方法は、スキームやどの類型で申請するかによって異なり、株式譲渡契約書や事業譲渡契約書、開業届、譲渡後の株主名簿などをもって判定します。
また、上記の事業承継対象期間にM&Aや事業承継を完了したとしても、以下の条件に当てはまる場合は、認められませんので注意しましょう。
要件を満たさないM&Aや事業承継の例
- グループ内の事業再編
- 物品・不動産等のみを保有する事業の承継
- M&A(Ⅲ型)での申請にも関わらず、親族内承継である場合
- フランチャイズ契約、又は実質的にはフランチャイズ契約であるとみなされる場合
- 従業員等へののれん分け、又は実質的にのれん分けとみなされる場合
- 事業譲渡における譲渡価格が0円(無償)である取引や、株式譲渡における、株価1円での買収である取引
- 株式譲渡後において、譲渡後に承継者が保有する被承継者(対象会社)の議決権が過半数に満たない場合
- 休眠会社や、事業の実態がない状態の会社における代表者交代、M&A等
0円の事業譲渡や1円の株式譲渡は、債務超過などで適正価格として0円、1円なのであれば対象となります。
あくまで不当に安く買いたたくようなM&Aには補助金を出しません、という意図です。
事業・投資内容の要件
以下の3点が主な要件です。
事業・投資内容の主な要件
- 引き継いだ経営資源を活用すること
- 経営革新に係る取り組みであること
- 3つの事業の種類(後述)のどれかに当てはまること
経営革新というのがちょっとわかりにくいですが、ざっくり言うと新しい製品・サービスの開発や新しい生産方法・提供方法の開発に関する取り組みのことです。
また、3つの事業というのは下記のことです。
対象事業の3つの種類 | 概要 |
---|---|
デジタル化に資する事業 | AI、IoT、ロボット等を活用する事業 |
グリーン化に資する事業 | 温室効果ガスの削減に資する事業。 もしくは脱炭素化に資する事業 |
事業再構築に資する事業 | 新製品・サービスで新市場を狙う事業。 もしくは新しい製造・提供方法で新製品・サービスを開発する事業。 |
買い手(引継ぐ側)の代表の要件
こちらは申請時点で事業承継やM&Aが完了していない場合のみ必要な要件です。
また、創業支援類型(Ⅰ型)は除きます。
以下のいずれかを満たす必要があります。
要件 | 詳細 |
---|---|
経営経験を有していること | 役員、もしくは個人事業主として3年以上の経験 |
同業種で実務経験等を有していること | 被承継者(売り手)で継続して 3 年以上雇用された経験、もしくは同じ業種で通算 6 年以上の経験 |
創業・承継に関する研修を受講すること | 認定特定創業支援等事業、 地域創業促進支援事業(平成 29 年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)、 中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修のいずれかを履修した者 |
経営や業務経験がない場合は、3つ目の研修を受講することになるかと思いますが、研修がどれくらい大変か、また、どれを受けたら良いのか気になるところ。
私個人の意見としては認定特定創業支援等事業がおすすめです。
受ける市区町村によって異なりますが、期間は一ヶ月程度で個別面談やセミナーなどを4回以上受講することで証明書をもらえるところが多いようです。
もちろん無料。
さらに、小規模事業者持続化補助金の創業枠という補助上限額が4倍の200万円になる制度でも活用可能です。
経営や業務経験がない方は、以下の中小企業庁のページから詳細を確認しましょう。
≫産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要
主な要件だけでも多すぎて、結局自分が対象になるかわからん!という方は、とりあえず無料診断にお申込みください。
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経営革新事業の採択率は?難易度はどう?
経営革新事業の採択率は50%〜61%程度で推移しており、他の補助金が20%〜40%程度で推移していることを踏まえると採択率は高いです。
その意味で難易度は低いと言えるでしょう。
第一次からの採択率は以下のように推移しています。
公募回 | 公募締切日 | 申請数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|---|
第一次 | 2022/6/20 | 209 | 105 | 50.24% |
第二次 | 2022/9/2 | 188 | 105 | 55.85% |
第三次 | 2022/11/24 | 189 | 107 | 56.61% |
第四次 | 2023/2/9 | 264 | 146 | 55.30% |
第五次 | 2023/5/12 | 309 | 186 | 60.19% |
第六次 | 2023/8/10 | 357 | 218 | 61.06% |
第七次 | 2023/11/17 | 313 | 190 | 61.29% |
合計 | 1829 | 1057 | 55.87% |
経営革新事業の申請に必要な書類一覧
補助金の申請書類というと、事業計画書が頭に浮かぶ方が多いかもしれませんが、事業計画書以外にも準備が必要な書類があります。
一覧にまとめますので抜けがないように申請準備の初めの頃に確認するようにしましょう。
区分 | 必要書類 | 備考 |
---|---|---|
全事業者共通 | 交付申請書(別紙) | 雛型は事務局ホームページにあり |
認定経営革新等支援機関による確認書 | 雛型は事務局ホームページにあり | |
法人の場合 | 履歴事項全部証明書 | 発行から 3 カ月以内のもの |
直近 3 期分の決算書 | ||
個人事業主の場合 | 住民票 | 発行から3カ月以内のもの |
3期分の確定申告書 B(第一表・第二 表)と所得税青色申告決算書(P1~P4) | 税務署の受付印が必要。 ただし、電子申請の場合は受信通知も必要 開業前の者は、その旨を記載した書面を提出 |
この他、事業承継やM&Aが完了している場合は、取引が行われたことを示す書類の提出が必要です。
また、特に注意なのが申請時点で事業承継やM&Aが完了していない場合、被承継者(売り手側)の書類も申請に必要なことです。
(Ⅱ型の経営者交代類型を除く)
交渉中に相手に負担をかける可能性があるため、該当する場合は早めに売り手側に伝達しましょう。
承継・引継ぎ補助金の経営革新事業に関するよくある質問
経営革新事業に申請する際に気になる点をまとました。
経営革新事業と専門家活用事業は両方申請できるの?
両方申請できます。
同じ公募回でもOKです。
専門家活用事業は、M&Aや事業承継の際に専門家に支払う報酬(成功報酬含む)やマッチングプラットフォーム利用料金が補助対象となる事業です。
特に成功報酬は高額になることが多いですし、両方使えるのであれば使わない手はないですね。
何年前のM&Aと事業承継なら対象?
直近の9次公募でしたら2019年11月23日以降のM&Aや事業承継なら対象です。
公募回によりますが、ざっくり申請期日の4年半前〜申請期日の半年後までと考えると良いでしょう。
なお、今後はルール変更の可能性もあるので、事務局ホームページを確認することを忘れないでくださいね。
既に支払った経費は対象になる?
対象になりません。
補助金の交付申請を行い、採択された後に支払った経費のみが対象です。
採択結果が出るのは、申請後1ヶ月〜2ヶ月後くらいです。
逆算して投資計画を立てるようにしましょう。
これからM&Aや事業承継を行う場合でも対象になるの?
対象になります。
各公募回ごとに事業承継期間というものが設定されており、この期間内でM&Aや事業承継が成立すれば、これからの場合でも対象です。
直近9次の事業承継期間は次の通りです。
事業承継対象期間
2019年11月23日〜2024年11月22日
ざっくり申請締切の半年後の事業承継・M&Aであれば対象になるかも、というイメージです。
事業や会社の売り手も申請できるの?
廃業・再チャレンジ事業と併用申請した場合のみ、売り手側の廃業費が対象になります。
金額は最大150万円です。
ただし申請はあくまで買い手側が行いますので注意しましょう。
親族承継でも活用できるの?
もちろん活用できます。
注意点はⅢ型のM&A類型で申請すると不採択になってしまう点です。
Ⅰ型の創業支援類型かⅡ型の経営者交代類型で申請するようにしましょう。
事業承継だけでなくM&Aにも使えるの?
M&Aにも使えます。
補助金の名前から事業承継にしか使えないと考えている方といるかと思いますが、M&Aももちろん対象です。
M&Aや事業承継後の投資で使用可能なその他の補助金
M&Aや事業承継後の投資で使用できる補助金は事業承継・引継ぎ補助金だけではありません。
下記は事業承継・M&A後の投資に使用できる代表的な補助金です。
事業承継・M&A後の投資に使えるその他の補助金
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
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事業再構築補助金
事業再構築補助金は新規事業の初期投資や広告宣伝費が対象です。
引用元:事業再構築補助金 リーフレット(令和5年8月31日更新)
M&Aや事業承継を契機に新しい事業に取り組む場合にぴったりの補助金です。
事業承継・引継ぎ補助金との使い分けとして、より大きな投資の際はこちらの事業再構築補助金をおすすめします。
会社の規模や公募回によりますが、補助金額が最大1.5億円です。
ものづくり補助金
ものづくり補助金では最新設備や先進的なシステム投資に補助金が出ます。
引用元:令和5年度補正予算 ものづくり補助金(令和5年12月1日更新)
最新設備の購入を考えている方は、ものづくり補助金で最新設備の補助金を申請し、事業承継・引継ぎ補助金ではその他の投資に関して申請するのも良いかもしれません。
(同じ事業計画で複数の補助金をもらうことはできない点には注意が必要です)
IT導入補助金
IT導入補助金ではパッケージツール(1から作るシステムではなく市販されているシステム)の購入やクラウドサービスの月額料金に対して補助金が出ます。
引用元:令和5年度補正予算 IT導入補助金(令和5年12月28日更新)
買収した企業のIT環境を整備するのに役立つかと思います。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、個人事業主含め小規模企業が取り組む販路開拓に対して補助金がおります。
引用元:令和5年度補正予算 持続化補助金(令和5年12月19日更新)
小規模事業者持続化補助金には創業枠というのがあり、創業3年以内であれば補助金額の上限が50万円から200万円に上がります。
経営革新事業の創業支援類型で申請する小規模事業者の方はこちらの補助金も申請すると良いかもしれません。
経営革新事業でM&A後の投資の負担を減らそう
以上、事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業について解説してきました。
補助金が使えるのであれば使わない手はないです。
本記事を参考にぜひ申請準備を進めていきましょう。
株式会社SAKUでは、なかなか自分たちだけで事業計画書や書類の準備が難しい方向けに、事業承継・引継ぎ補助金の申請支援を行っています。
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