【事業継承・引継ぎ補助金】個人開業医・クリニックや医療法人は使える?注意点は?

【事業継承・引継ぎ補助金】個人開業医・クリニックや医療法人は使える?注意点は?

事業承継・引継ぎ補助金は、個人開業医(個人事業主)でしたら申請可能です。
一方で、残念ながら医療法人の場合、申請できません。

さらに、個人開業医の場合でも申請できる場合とできない場合があります。
そこで本記事では個人開業医が申請できて医療法人が申請できない理由から個人開業医が申請するにあたっての注意点や申請事例を解説します。

クリニックの事業承継は、ただの経営者交代以上の意味を持ちます。
それは、地域社会にとって不可欠な医療サービスの提供を継続し、高品質の医療を次世代にも確実に引き継ぐことです。
ぜひ本記事を読んで補助金を活用し、事業とともに高品質な医療サービスを引き継ぎましょう。

なお、事業承継・引継ぎ補助金の全体像を把握したい方はまず【補助金専門家が解説】事業承継・引継ぎ補助金とは?M&Aにも使える?2024年最新情報をお読みください。

株式会社SAKU 代表取締役 谷沢鷹続

株式会社SAKU 代表取締役 谷沢 鷹続

2つのコンサルティング会社で各種補助金の獲得支援、事業承継・M&A、Webマーケティング、IT利活用などを支援。独立した後は、これまで培ったノウハウを活かし中小企業の包括的な伴走支援と専門的な実行支援を行う。
事業承継・引継ぎ補助金や事業再構築補助金などの大型補助金の申請支援を得意とし、採択率は90%前後を誇る。

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※本記事は2024年6月24日時点の情報で作成しています(最新スケジュールは随時更新)。最近情報は事業承継・引継ぎ補助金のホームページで確認するようにしてください。

事業承継・引継ぎ補助金とは?どんな費用が対象?

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継に関わる専門家(仲介業者含む)に支払う費用や、事業承継後の新規投資に関わる費用に対する補助金です。
これにより事業承継が円滑に行われることを目指しています。

事業承継・引継ぎ補助金の中に以下の3つの事業があり、それぞれ補助率と補助金額が異なります。

種類(事業)補助上限額補助率
経営革新事業800万円1/2-2/3
専門家活用事業600万円1/2-2/3
廃業・再チャレンジ事業150万円2/3

参考:【令和6年度経営革新事業】M&Aや事業承継後の投資に使える|事業承継・引継ぎ補助金

個人開業医・クリニックや医療法人は事業承継・引継ぎ補助金を使える?

冒頭でも述べましたが、この疑問に対する回答は下記のとおりです。

  • 個人開業医・クリニックは使用可能
  • 医療法人は使用不可

個人開業医・クリニックは使用可能(診療所も病院も可)

個人開業医・クリニックは、事業承継・引継ぎ補助金が使えます。

これは個人開業医は個人事業主となりますが、個人事業主は事業承継・引継ぎ補助金の対象となるためです。

そのため、個人開業医であれば定義上の診療所か病院かどうかは関係ありません。
もちろん、歯科医院、美容クリニック、整骨院なども個人開業であれば対象です。

医療法人は使用不可

一方で、医療法人に関しては、事業承継・引継ぎ補助金の利用が認められていません。

「なんで医療法人だけ対象外なの?」と思われたかもしれませんが、対象外になる法人は他にもあります。

法人形態対象/対象外備考
株式会社対象
有限会社対象
合名会社対象
合資会社対象
合同会社対象
社会福祉法人対象外
医療法人対象外個人開業医は対象
一般社団・財団法人対象外
公益社団・財団法人対象外
学校法人対象外
農事組合法人対象外個人の農家や株式会社などの農家は対象
組合(農業協同組合等)対象外
特定非営利活動法人(NPO法人)追加条件付きで対象中小企業者等の振興に資する事業を行う(事業)者 など

このように公益法人等に該当する法人形態は対象外となる場合が多いです。

株式会社SAKU 代表取締役 谷沢鷹続

このように残念ながら医療法人は対象になりませんが、MS法人であれば株式会社等で設立していることがほとんどだと思うので、対象になりえます。
もしMS法人をお持ちの方は事業承継・引継ぎ補助金の申請しましょう。

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個人開業医・クリニックが事業承継・引継ぎ補助金を使用する際の注意点

事業承継・引継ぎ補助金を活用するにあたっては、いくつかの重要な注意点があります。
これらの条件を満たさない場合、補助金の申請が却下される可能性があります。

  • 経営革新事業は自由診療のみ対象
  • 専門家活用事業は親族間取引は対象外
  • 専門家活用事業の場合は引き継ぐ従業員数が0人だと対象外の可能性

以下、具体的な注意点について詳しく解説します。

経営革新事業は自由診療のみ対象

経営革新事業とはM&Aや事業承継後の投資に活用できる補助金です。

事業承継・引継ぎ補助金の経営革新事業に申請する場合、自由診療に関する設備投資のみ対象となり、保険診療に関する設備投資は対象外となります。

経営革新事業の9次公募要領に以下の記載があります。

(4) 補助対象事業は、以下のいずれにも合致しないこと。

(略)

③ 国(独立行政法人を含む)及び地方自治体の他の補助金、助成金を活用する事業 ※次に掲げる事業は補助対象とならない。また、交付決定以降に以下に該当すると確認された場合、交付決定が取消しとなる場合があるため注意すること。

(略)

公的医療保険及び介護保険からの診療報酬及び介護報酬、固定価格買取制度等との重複 がある場合

経営革新事業第9次公募の公募要領

このように経営革新事業は、他の補助金や助成金をもらっている場合は対象外となります。
この中に医療保険や介護保険との重複がある場合との記載があるため、保険診療に活用する設備の購入は対象外です。

「じゃあ保険診療を行っているクリニックは補助金の対象外なの?」「自由診療だけで使用する予定だけど申請する際の注意点は?」「混合診療では使用できる?」など気になる点が多く出てくると思います。

結論としては、保険診療を行っている事業所とは別の事業所で行うか、同じ事業所でも部屋を区切って行うのであれば問題ありません。

公募要領の該当部分を引用します。

【③該当時における、交付申請時の留意点】
上記「③国(独立行政法人を含む)及び地方自治体の他の補助金、助成金を活用する事業」との重複可能性がある事業者においては、交付申請時の提出書類「交付申請書(別紙)」において、 当補助金の補助対象事業が重複に相当しない旨を明確に記述の上、その根拠を疎明すること。
特に、公的医療保険及び介護保険からの診療報酬及び介護報酬、固定価格買取制度等(以 下、「報酬事業等」という。)との重複がある場合において、補助対象となる設備等が、報酬事業等とは別の事業において活用されることが明確に確認できないと事務局が判断した場合は採択とならないため、留意すること。 (重複に相当しない根拠例)
➢ 指定保険医療機関・保険薬局等に該当しないことを明示する
補助対象事業は、従来の報酬事業等を営む事業所とは別の事業所において、設備機器等を完全に分離

経営革新事業9次公募の公募要領

公募要領には、「別の事業所」とありますが、9次公募時点で事務局に確認したところ、「建物が異なる方が良いが、同じ建物でも部屋を区切って行うのであれば対象になりうる」と回答いただいています。
ですので、混合診療含め、同じ建物内で保険診療と自由診療を行う場合も対象となります。

株式会社SAKU 代表取締役 谷沢鷹続

ちなみに、もともとは診療報酬などとの重複がNGとは明記されていませんでした。
近年は補助金の要件が次第に厳しくなってきています。
保険診療を提供していてこれから申請される方は、必ず最新の公募要領を確認の上、事務局にも事前に相談しながら進めるようにしてください。

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専門家活用事業は親子・親族間の承継は対象外

専門家活用事業とは、M&Aや事業承継にかかる専門家や仲介会社へ支払う費用が対象となる補助金です。

「クリニックを子どもに引き継いで引退したい。その引継ぎにかかる費用に補助金を使いたい」という場合もあると思います。
しかし、残念ながら専門家活用事業では、親子や親族間の事業承継は補助金の対象外となります。

このルールの主旨は明記されていないのでわからないのですが、成功報酬をキックバックするなどの不正を防ぐことがあるのかと思います。

ですので、親子や親族間での承継で事業承継・引継ぎ補助金を使用したい方は、経営革新事業の活用を考えましょう。
(前段で述べた保険診療が対象にならない点は注意しましょう)

参考:親子間で事業承継・引継ぎ補助金は使用可能!要件や注意点は?

専門家活用事業の場合は引き継ぐ従業員数が0人だと対象外の可能性

また、専門家活用事業で、引き継ぐ従業員数が0人の場合、補助金の対象外となる可能性があります。

特に不動産業に対して厳しいので、単なる不動産売買に補助金を出さないようにすることが目的だと思います。

補助対象外の"可能性がある"としたのは、公募要領に要件を満たさないとして事務局が判断する"可能性がある"と記載があるからです。

公募要領の該当箇所を抜粋します。

不動産業以外の業種においても、常時使用する従業員 1 名以上の引継ぎが行われていない場合は、経営資源引継ぎの要件を満たさないと事務局が判断する可能性があるため、留意すること。

事業承継・引継ぎ補助金ホームページ

そのため、クリニックの場合は、反対に従業員を引き継がなくとも補助金の対象となる可能性もあります。

家族経営等で承継と同時に皆引退・退職する場合は、申請を行う際は補助金事務局に事前に確認するようにしましょう。

個人開業医・クリニックが事業承継・引継ぎ補助金を使用した事例

事業承継・引継ぎ補助金のうち経営革新事業は採択された企業名と事業概要が公開されています。
(専門家活用事業は機微な情報のため、非公開です)

公開されている事業概要をいくつか抜粋しました。

都道府県事業概要
北海道被承継者がこれまで行っていた歯科クリニックを再構築。承継者が「歯科麻酔」に⾧けているという強みを活かし、審美歯科分野へ新たな挑戦を試みる。
栃木県これまで当院は義歯治療を希望する高齢者をメインターゲットとしてきました。しかし、時代の変遷による顧客層や、歯科医院に対する需要の変化に対応し、また収益性のより高い自由診療に力を入れていくため、院内のデジタル化を進めます。このデジタル化によって、患者さまにとって分かりやすく明瞭かつ身体的にも負担が少なく、満足度の高い歯科医療サービスの提供が可能になりま す。その結果として幅広い世代にも支持され、当院のブランド力UPによる売上の増加を目指します。また生産性の向上はもちろん、スタッフの負担軽減も実現します。
愛知県自由診療のための特別診療室の増設と、普及率が低いとされるデジタルマイクロスコープなどを、競合の歯科医院に先駆けて導入することで、当院ならでは治療を提供します。当院は「通うたびに、健康に一歩近づく歯科医院」を理念としていますが、治療説明を分かりやすくすることで好循環が生まれ、この好循環によって当院の理念を体現化します。これまでの歯科医院のイメージを払拭し、患者さまが健康増進のために通いたくなる医院を目指し、また業務効率化が可能な機器を活用することでアットホームながらも少数精鋭で生産性の向上をめざします。
奈良県最新CT増設による広範囲撮影と口腔内スキャナーによる咬合シミュレーションや顎位の再現性を組み合わせることで、正確な咬合治療から睡眠障害等の自費治療を可能にする。
埼玉県かかりつけ医としての近隣地域での地位確立と、高度な治療を求める患者様のニーズを満たす体制(設備)の整備。

引用元:事業承継・引継ぎ補助金の採択結果

このように歯科医院系が多いですが、他の診療科ももちろん対象です。

同じような内容を考えていた方はぜひ申請を考えてみましょう。

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【2024年】事業承継・引継ぎ補助金の最新スケジュール

9次公募は2024年4月30日17時に締め切られました。
2024年6月4日に10次公募が行われることが発表されました。

申請締切日などはまだ発表されていませんが、おそらく早ければ7月末頃になるかと思います。
また、10次は臨時的な追加公募のため、専門家活用事業のみが対象で、経営革新事業は公募されないようです。

なお、11次以降のスケジュールはまだ発表されていません。

当社の無料補助金メルマガにご登録いただけましたら、最新スケジュールが公開され次第情報提供いたしますので、よろしければご登録をお願いいたします。

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個人開業医・クリニックや医療法人の事業承継・引継ぎ補助金に関するよくある質問

ここまで概要を網羅的に解説してきましたが、より細かい個別の疑問点に回答いたします。

  • 歯科医院は事業承継・引継ぎ補助金を使える?
  • 美容クリニックは事業承継・引継ぎ補助金を使える?
  • MS法人のM&Aや事業承継は対象になる?
  • 節税目的の不動産投資の会社は対象になる?
  • 医療法人のM&Aや事業承継で使える補助金は?
  • 新たにクリニックを開業する際にも使える?

歯科医院は事業承継・引継ぎ補助金を使える?

はい、歯科医院も個人開業医やクリニックの場合は、事業承継・引継ぎ補助金の対象となります。

ルールや注意点も歯科医院だからといって変わりません。
本記事を読んで申請できるか気になった方はぜひ一度無料相談にお申込みください。

美容クリニックは事業承継・引継ぎ補助金を使える?

はい、美容クリニックも補助金の対象に含まれます。

特に美容クリニックの場合、自由診療のみの場合が多いと思いますので、専門家活用事業に加えて経営革新事業も活用可能です。
事業承継・引継ぎ補助金は、専門家活用事業と経営革新事業の両方に申請できますので、ぜひ活用しましょう。

MS法人のM&Aや事業承継は対象になる?

MS法人は基本的に株式会社等の形態だと思いますので、補助対象となります。

ただし親子間・親族間承継の場合は専門家活用事業は補助対象外となりますので注意してください。

節税目的の不動産投資の会社は対象になる?

節税目的の不動産投資を行う会社は、基本的に補助金の対象外となります。

対象外の理由は単なる不動産売買に補助金を出さないようにすることだと思います。

医療法人のM&Aや事業承継で使える補助金は?

残念ながら経産省系の補助金は対象外であり、その他の補助金も現時点では対象になるものは見当たりません。

ただし、各都道府県や市区町村の補助金であれば対象になる補助金がある可能性があります。
ご自身の病院の所在地の自治体ホームページで探してみましょう。

また、今は補助金がなくとも将来的に新設される可能性もあります。
定期的に補助金情報を仕入れることをおすすめします。

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新たにクリニックを開業する際にも使える?

他の方のクリニックを承継して新規開業する場合、事業承継・引継ぎ補助金のうち、経営革新事業は対象となります。

また、専門家活用事業は青色申告を開始して5年以上経過しているのであれば対象になります。

事業承継・引継ぎ補助金は個人開業のクリニックなら対象!

以上、個人開業医・クリニックや医療法人による事業承継・引継ぎ補助金の申請可否や申請時の注意点について解説してきました。

事業承継・引継ぎ補助金は、医療業界における事業承継の課題を解決するための強力な支援策です。
特に、個人開業のクリニックにとって、この補助金は事業のスムーズな引き継ぎを実現するための大きな助けとなります。

本記事を読んで申請できそうと感じた方は早速申請準備に取り掛かりましょう!

株式会社SAKUでは補助金申請の経験豊富で薬剤師の資格保有者が申請をサポートします。
「自分のクリニックが対象になるのか知りたい」「申請したいけど何から準備していいかわからない」という方はぜひ無料相談にお申し込みください!

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